痔 便秘解消のための下剤の危険性

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痔の大きな原因に便秘があります。この憎き便秘をやっつけるために下剤を服用することがあります。ここでは、便秘解消のために用いる下剤の危険性について取り上げます。どんな薬にも言えることですが、飲み続けると耐性がついてきます。

そうなると、薬を増やさないと以前と同じような効き目が得られません。負のサイクルに陥り、効果を得るためにどんどん飲む下剤の量を増やさなければならなくなります。

痔にとってなぜ下剤は危険?

下剤に対して耐性がついてきたなら、飲む量をどんどん増やせばいいのではないでしょうか。本来、便が出るというのは身体の自然な機能です。下剤というのは、排便という自然の機能を人為的に起こしているものです。

繰り返し下剤を使用することにより、身体に備わる自然の機能が衰えてゆきます。排便を促すための腸の働きがだんだん弱くなるのです。そうなると、繰り返される下剤の使用により、腸の粘膜の細胞を害して大腸の粘膜が真っ黒になります。

「大腸メラノーシス(腸管メラノーシス)」と呼ばれる状態です。大腸メラノーシスになると、腸の働きは衰え、下剤なしでは排便が困難になり、ますます便秘になり、ますます下剤に頼るという悪循環に陥ります。

最終的に腸は自分で便を出そうとしなくなってしまいます。自分の体が排便できない体になってしまうというのは恐ろしいことではないでしょうか。

ガンのリスク

便秘とガンの関係性についてはどうでしょうか。じつは、便秘自体は大腸ガンのリスクにならないということが国立がんセンターの研究で報告されています。

しかし、下剤を使用するとどうでしょう。下剤を長期間服用した患者からは大腸ガンが増加するとの海外報告があがっています。

また、週に2回以上下剤を服用する人々は、そうでない人々に比べて、大腸ガンのリスクが2.75倍になることが東北大学の研究より報告されています。

妊婦さんはダメ

妊婦さんの中にも便秘に悩まされる人が多いものです。しかし、特に妊婦さんは注意が必要です。下剤として広く用いられているセンナや、漢方便秘薬である大黄などのアントラキノン系便秘薬は、子宮の収縮を誘発することがあるので、流産や早産を引き起こす危険性があります。

出産後であっても、薬の成分が母乳に混ざる可能性があるため、授乳中の使用も控えたほうがよいでしょう。

1日1回必ず排便?

下剤を常用する方に多いのが、毎日排便が無いことを異常だと感じてしまうことです。排便周期には個人差があります。2日に1回で調子がいいという人もいれば、1日2回で快調という人もいます。また、食べたものの種類・量により、でない日があったりもします。

ですから、「1日1回必ず排便!」というわけではなく、2日に1回でも3日に1回でも、排便してすっきりしたと感じ、調子がいいなら問題ないのです。自分がなぜ下剤を使うのか、その理由をたどり、間違った考え方をしていないか考慮してみるのはよいことです。

便がよく出るお茶

「便がよく出るお茶」が時々宣伝されていますが、あの種の商品についてはどうでしょうか。

アロエやセンナ、キャンドルブッシュ(別名:ゴールデンキャンドル)などを含む便の出るお茶などは「薬じゃないから安心」という思い込みはないでしょうか。

キャンドルブッシュ

これに関しては国民生活センターに相談が寄せられ、調査されるほどの事態に発展しました。2014年に消費者に対して注意勧告が発表されています。詳しくは、「便がよく出るお茶 国民生活センター」と言ったワードで検索してみてください。

アロエにはアロイン(バルバロイン)という下剤成分が、また、センナ、キャンドルブッシュには「センノシド」という下剤成分が含まれています。商品に「センノシドという下剤成分が含まれています。飲み過ぎるとお腹を壊す可能性があります。」といった注意書きはほとんどなされていないようです。

ですから、飲むことにした場合、まず少量より試してみることが国民生活センターより提案されています。

また、厚生労働省が認可した「便秘に効果がある」と認められる漢方薬はいくらかありますが、「厚生労働省が認可したから大丈夫」また、「漢方薬だから身体には悪くない」という思い込みはないでしょうか。

こうした薬の成分にはほぼすべてセンナか大黄が入っているのです。ですからこれらは結局のところ、量の多少はあれど、下剤を飲んでいるのと同じことなのです。それは便もよく出るはずです。

飲み続けることの危険性については、上述のとおりですが、こうしたものも依存性・習慣性を生じやすいため、ずっと飲み続けないと便が出なくなったりします。飲み続けると腸の働きは弱くなり、軟便続きのため、肛門が少しずつ狭くなります。穴が小さくなってしまうのです。

そうなってくると、ますます便は出にくくなり、便秘は治らないまま、切れ痔を発症しやすい肛門になります。こうした点により、「便がよく出るお茶・便秘に効果がある漢方薬」を「いつも飲む」という位置付けから、「よっぽど便が出ない時の助け」くらいの意識で用いるほうが危険性が小さいと思われます。