薬物乱用頭痛 薬の飲み過ぎによって生じる頭痛

薬の飲み過ぎによる頭痛

最近特に増加している頭痛のひとつに「薬物乱用頭痛」があります。頭痛に対処するために市販薬に頼る人は多く、鎮痛剤はドラッグストアなどでも売れ筋商品です。それらで頭痛を抑えることはできますが、使用法や限度を間違うとさらにひどい頭痛に発展することがあるのです。

薬物乱用頭痛に陥る典型的なパターンは次のようなものです。いつもの頭痛が起きて、鎮痛薬を服用します。薬の効果が切れてくると再び頭痛が生じ、我慢できなくなって鎮痛薬を服用する、この繰り返しを長期間続けています。人によっては数十年そのような生活を続けています。

薬物乱用頭痛は、当初は月に1~2回の鎮痛剤服用だったものが少しずつ増加し、気がつけば毎日のように、ひどい場合には1日に数回飲まねばならないような状況になっています。通常、月に15日以上鎮痛薬を飲む場合に薬物乱用頭痛と診断されます。現段階で月に10日以上服用しているなら要注意です。

薬物乱用頭痛に陥ると、痛みを抑えるはずの薬そのものによって痛みが誘発され、薬の有効時間が短くなります。以前よりも痛みに敏感になり、不安感も強くなり、余計に薬が手放せなくなります。

痛みから逃れるため、痛みが生じる前に薬を飲んでしまうとますます薬への依存が深まります。また、不安感や悪循環から抑うつ状態になったり、パニック障害を引き起こしたりすることもあります。

診断に至りにくい

すでに薬物乱用頭痛に陥っている人は薬の服用回数が月に15日以上に及んでおり、その多くは複数の鎮痛薬を同時服用しています。なかには鎮痛解熱薬のかぜ薬を頭痛薬として常用している人もいます。ですから、服用している薬のうち、どの薬がどの程度効果を発しているのかさえわからないような状態になっています。

薬物乱用頭痛の患者が頭痛に詳しくない一般開業医を受診した場合、正しい診断に至ることは稀です。医師に症状を尋ねられても「毎日のように耐えられないような頭痛がしています」といった患者の答えが一般的でしょう。

多くの場合、それまでと同じように鎮痛剤をもらって帰ってくることになります。結局のところ堂々巡りになるだけで、ますます薬への依存が強まり、何の解決にも結びつきません。

治療

月に15日以上鎮痛薬を服用している薬物乱用頭痛になっているなら、おそらく薬局の市販薬や薬剤師に相談しながらの自己解決は困難でしょう。鎮痛剤を飲めば一時的に痛みがなくなりますが、根本的な問題に対処しない限り、問題は時とともにひどくなるのです。ですから、いつまでも表面的な解決策に逃げず、頭痛専門医に診てもらいましょう。

薬物乱用頭痛から抜け出すためには、依存性のない予防薬に移行することが大切です。しかし、この頭痛に陥っている患者は、現段階で手にしている薬を手放すことに強い抵抗を覚えます。薬物乱用頭痛は、薬物依存頭痛でもあるのです。依存からの脱却は一時的に苦しみを伴いますが、抜け出すことは可能です。

頭痛のための鎮痛薬は何種類もあるため、どの薬が自分の頭痛にぴったりなのか、合う薬を医師と協力しながら探す期間が回復のためには必要です。服用するタイミングや頭痛の生じやすい条件を見つけながら少しずつ対処の方法を学びます。

そのようにして月に15日以上服用していた鎮痛薬の依存状態から、薬を飲まなくても大丈夫な日を増やしてゆくのです。完全に頭痛がなくなることはないかもしれませんが、今よりずっと楽な状態で日々過ごせるようになります。